中国の言論界で影響力を持つ人民日報系「環球時報」前編集長の胡錫進氏が10月末、約3カ月ぶりにSNSを更新した。胡氏は7月の投稿が問題視されて発信を制限されていたとみられており、ようやく「謹慎」が解けたようだ。
胡氏は2021年の編集長退任後、政治や社会問題の評論を毎日のように投稿していた。タカ派の論客として知られ、SNS微博(ウェイボー)のフォロワーは約2500万人にのぼる。
しかし、7月27日に、中国共産党の重要会議である中央委員会第3回全体会議(3中全会)をめぐる投稿をした後に更新が途絶えていた。香港紙・星島日報によると、胡氏は3中全会の決定全文に、「(中国の経済制度は)公有制を主体とする」という文言がなかったことを「歴史的な変化」と指摘。しかし一部から曲解だと批判があがり、投稿はその後削除された。人民日報も7月末の紙面で胡氏の解釈を否定するような内容の評論を掲載した。
胡氏は10月31日夜に3カ月ぶりに更新。北京近隣の河北省の県に橋が開通したことを投稿した。翌日11月1日にも関連の話題を連投したが、投稿が途絶えた理由は触れていない。
以前は国内政治や国際情勢への言及も多かったが、今回は身近な話題で「安全運転」に徹したようだ。コメント欄には「おかえり」「ずっと待っていました」などと復帰を歓迎する投稿もあった。(北京=井上亮)